どうも、おのじ(@ozy_san_0624)です。
突然ですが、観ました。やっと観れましたよ。
『テイキング・オブ・デボラ・ローガン』!

やっとと言うのは、本作が私にとっての最大の見逃し映画だったからです。
ツイッターで見かけてからずっと気になっていて、VODサービスのマイリストに登録していたんですね。
それなのに、「いつか見よう」なんてちんたらしているうちに、配信期間が終了していたという。ばかっ!私のばかっ!
VOD契約している人なら、一度や二度や三度は経験があることだと思います。
まぁ見逃したとしても、アマプラでレンタルはされていたんです。だから、ワンコイン払えばいつでも見れたんですけどね。
だけど一旦VODサービスで配信されていたと思うと、また配信されるんじゃないかとついつい待ってしまう。この貧乏性が憎い。
これもVOD契約してる人ならあるあるでは?ない?私だけ?
映画が好き。
財布の紐を守りたい。
いつもいつも、私はこの二つの合間で悶えています。
何の話だっけ?
さて、今回は『テイキング・オブ・デボラ・ローガン』のトラウマ婆ぶりを堪能しましたので、感想をかいていきます。
Contents
テイキング・オブ・デボラ・ローガン:あらすじ
アルツハイマー患者の老女を取材する学生たちが想像を絶する恐怖に見舞われる姿を描いたオカルトホラー。医大生のミアと仲間たちは、アルツハイマーと診断された老女デボラとその娘サラの生活を取材するため、バージニア州の田舎町を訪れる。女手ひとつでサラを育て上げたデボラは聡明で意識もはっきりしていたが、ミアたちの滞在中に急激に症状が進行し、奇怪な言動が目立つようになっていく。突如として凶暴化し包丁を振り回したり、自らの皮を剥いだり、背中におぞましいアザが浮かび上がったりと、アルツハイマーだけでは説明のつかない現象に恐れおののくサラとミアたちだったが……。
引用:映画.com
アダム・ロビテルの監督作品

アダム・ロビテルといえば、『パラノーマルアクティビティ5』の監督を務め、『インシディアス 最後の鍵』でも成功をおさめた監督。
直近では、『エスケープ・ルーム』を手掛けました。
『インシディアス 最後の鍵』の脚本にはいささか疑問を感じたものの、演出は安定した怖さだったのが印象的でした。最後はばっちり泣かされましたしね。
その時から私、アダム・ロビテルの事が気になってたんですよね。
そんな彼が2014年に製作したのが本作『テイキング・オブ・デボラ・ローガン』。
「この老婆、トラウマ級」というキャッチコピーにも惹かれて、
とずっと思っていたのです。なのに、なかなかVOD配信されないときた。
それがこの度、めでたくAmazonプライムビデオ入りしたんですよ!
以降、ネタバレを交えて感想を書いていきます。
デボラの何がトラウマ級なのか

トラウマ級の老婆とは、なんぞ?と、まず気になりますよね。
- 行動がトラウマ級なのか?
- 演出がトラウマ級なのか?
- ストーリーがトラウマ級なのか?
私は本作のトラウマ級ポイントの一番は、デボラのビジュアルだと思っています。
確かにデボラの奇行は怖い。自分の首の皮膚を剥ぐ行為はショッキングで、観ていて嫌悪感がふつふつ湧いてきます。
いつの間にかデボラが背後にいたり、暗闇の中でふらふら歩きまわるシーンの演出もドキッとします。
でも何より、後半にかけてどんどん常軌を逸していくごとに、外見も人から外れていくデボラがすごい。
本作中では蛇がキーワードになっていて、蛇がよく出てきます。そして映画終盤のデボラは、蛇に対する嫌悪感をそのまま形にしたような外見に変貌。
文字通り毒を吐きますし、少女の頭を丸呑みにするというトラウマ映像も拝むことができます。
やばぁ。
このシーンを見たとき、私は悲鳴も出ずに静かに血の気が引きました。(蛇嫌い)
デボラ役のジル・ラーソンって、綺麗な女優さんなんですよね。その端正な顔がどんどん歪んで、目に怪しい光をやどしていく、あの迫力。
すごいんだよなぁ。
ビジュアルのインパクトだけじゃなく、ストーリーも分かりやすい

本作はストーリーも魅力です。
- デボラの奇行の原因
- そうなるまでの過去・過程
- 最終的に彼女がどうなっていくのか
話の展開が、とても分かりやすいんですよね。
デボラと親友の隠された過去から、デボラを襲う元凶の正体、そいつの狙いと怪しい儀式。
流れるように謎が解かれていくじゃないですか。
めちゃくちゃすっきりする。
POVって、臨場感や映像のインパクト重視なイメージでした。実際、そういう作品が多かったと思います。
なので映画が終わった時に、
ってことがあるし、
と聞かれたときに、
なんて事態もよく発生していました。私だけかもしれませんけど。
だけど本作では、POVの魅力である臨場感はそのままに、さりげなくストーリーの道筋も理解させてくれます。
この「さりげなく」ってところがミソ。
詳しく理解させようと説明が多くなってしまうと、
なんて、わがままな事を言い出す輩がここにいますから(私)。
その点、本作のストーリー構成と演出はとても巧みだったと思います。
従来のPOVとの違いを感じるポイント

私が今まで見てきたPOVホラーというと、
- ブレア・ウィッチ・プロジェクト
- グレイブエンカウンターズ
- コンジアム
- クリーピー
など。
今までのPOVって、「若者たちが心霊スポットに乗り込み、逃げられなくなる」という設定が多く、登場人物や舞台がかなり限られていました。
ただ、本作はちょっと趣が違っています。
取材を担当するのは、医学生のミアたち。アルツハイマー患者の取材のために、デボラの自宅へ泊まり込むという設定です。
そして登場人物はデボラとミア達のほかにも、
- デボラを介護する娘のサラ
- デボラの親友
- デボラの入院先の医療スタッフ
- デボラが誘拐した少女の親
- 人類学者…
と、これまでのPOVホラー作品に比べると人数が多く、限定されていません。
しかしデボラを中心にこれだけの人が関わっているんですね。人という字は、人が人を支えている字なんですね。はい。
さて本作の舞台はどうかというと、デボラの家と病院がメイン。舞台も限定されてないんですね。
正直、病院にいるときの安心感ったらなかったです。
人の多さといい、照明の明るさといい。
POVホラーでありながら、空間的にも人の繋がり的にも開けているのは、今までのPOVホラーとの大きな違いだと感じます。
だから、完全な1人称ではなく、俯瞰で見れちゃう印象があったのかもしれません。
それってPOVとしていいの?悪いの?ってもちらっと思いますけど、わたし的にはとても良かったのでオールオッケー!
生存率も高かったしさぁ
本作はPOV特有の
- 閉ざされた空間で
- 何が自分の身に起きているのか把握できないまま
- 登場人物全員が恐怖に飲み込まれていく
という絶望感は、薄い印象です。
「恐怖に飲み込まれる」なんて回りくどい言い方してますけど、要は皆死んじゃうってことです。
今まで見てきたPOVホラーは、登場人物の死亡率がすごく高かったんだよなぁ。
ですが、本作は生存率が高い。
ミア達撮影隊って(特にメンズ)、真っ先に死ぬポジションなんですよね。ですがミア以外の撮影クルーは「やってらんねぇ」と、どんどん撮影から離脱していきます。
逃げる途中で死ぬとか、逃げたと思ったら後から死体で発見されたとか、そんなオチでしょ~~なんて思ったけど、そんなこと一切なし。
心霊スポットに足を踏み入れた者たちを幻覚地獄に落として、皆殺しにしていったブレアウィッチ、コンジアムなどなどなど。
それらに比べると、デボラ(というか中の人)は優しい。
興味が少女一択だったからともいうけど、デボラに危害を加えない限りは襲われないしね。
だから総じてキャラクターの生存率が高かったのかなぁ。
誰も悪い人、いなくない?

本作はPOVホラーなのに、共感できる人物がいるというのも魅力。
心霊スポットに乗り込んで痛い目を見る、自業自得系POVホラーが多い中、本作は誰一人として悪くない。
むしろ共感してしまいます。
デボラの介護をする娘のサラには同情しかないですよ。
病気のせいで奇行に走ってしまうデボラ。…と思ったらそれだけじゃないっぽい怪現象が起こり始める。
そんなデボラのために夜も満足に眠れないサラ。介護だけでなく、経済的にもひっ迫する生活…。
私だったら、「どうしろってんだよこんちくしょー!」と喚き散らすところです。そんな中でも笑顔とユーモアを忘れないサラには、涙がちょちょぎれちゃいますね。
ちょっとしたことでキレまくっている私も、サラを見習わなければですよ。KY上司に切れてる場合じゃないですよ。まじまじ。
撮影隊のミアは、序盤は軽いノリの医学生。
デボラの取材許可を得るため「自分の祖父も同じ病気で…」と嘘をつくあたりで、いけ好かない小娘感を出していました。
だけど次々撮影隊が離脱していく中、「彼女は困ってるのよ!」と最後までデボラとサラを助けるために奔走。
そのせいで、人生最大のトラウマ光景を見る事にもなるんですけど。
きっと彼女は、良い医者になることでしょう。
サラとミアの二人は、「お疲れさんな…」と言って抱きしめてあげたいけど、こんなご時世だから、ハグは自重するか…。
そのかわりに真心を送ります。
私手作りの「がんばったで賞」メダルもあげたい。
いらないか。
途中で逃げ出した撮影隊のクルーのことは、「グッド危機回避能力」と褒めたたえたい。
あんたたちも家族がいるだろうて。家族のためにも逃げろ逃げろ。
ミアの奉仕の心も素晴らしいけど、彼らの判断は至極まっとうだと思います。
明らかに異常になりつつある状況で、「逃げる」というのは最善の一手ですもんね。
ホラー映画でこういう判断ができるってだけで、好印象なメンズです。
本作の主役デボラは、本当に大変でした。災難どころじゃないド災難。
幼かった娘を守るためとはいえ、過去に連続殺人鬼を殺害。
逆にね。
映画見てた時はスルーしちゃったし、なんなら「私も母親だったら、そうしたかもしれない…」なんて同情してたくらいです。
だけど連続殺人鬼を殺害ってフレーズ、よく考えたらすごいっしょ。
「そうしたかもしれない…」じゃないっしょ。
なかなか超えられないわ。ハードル高すぎる。
罪を犯した後のデボラは、重い十字架を背負って生きてきたことでしょう。
それなのに、晩年になってその殺人鬼の霊に憑りつかれてしまうなんて。
しかも、隠したかった過去の罪も暴かれ、少女誘拐犯という新しい罪も(本意じゃなかったけど)犯してしまったし。
可哀そうすぎる。
どうかどうか、人生を終えた彼女が天国に行けますように。
まぁ、全部映画の話なんですけどね。
驚きの感情移入が得意技。
おわりに
以上、『テイキング・オブ・デボラ・ローガン』の感想でした。
ホラーは好きだけど、POVは苦手なんだよな…っていう人って、一定数いるんじゃないかと思います。
本作は、そんな方でも楽しめる映画。
POV入門としても、猛烈に推したい。
そしてアダム・ロビテル監督つながりで、『パラノーマルアクティビティ5』も観ようかなと思い始めています。
怖くて中断した、あのパラノーマルアクティビティシリーズを。
また電気消して寝れなくなるな…。あぁ、電気代が飛んでいくねぇ…。
5月には『エスケープ・ルーム』も配信されますからね。今のうちにアダム・ロビテル監督作を予習しておきたいところです。
さぁさぁ、そこのあなたも、レッツ!テイキング・オブ・デボラ・ローガン!
作品情報
原題:The Taking of Deborah Logan
製作国:アメリカ
製作年:2014年
上映時間:90分
監督:アダム・ロビテル