どうも、おのじ(@ozy_san_0624)です。
『ガーンジー島の読書会の秘密』を観ました。
昨年2019年夏ごろに公開された本作ですが、観たかったのにタイミング逃しちゃって見れてなかったんですよね。
この度3/11にデジタル配信されましたので、早速鑑賞。私にとってはやっと見れた作品。嬉しい。
この映画では、人の絆の大切さがガーンジー島の美しい自然とともに描かれています。「至福のミステリー」というキャッチコピーの通り、観た後にすごく心が温かくなりました。
Contents
あらすじ
第2次世界大戦直後のイギリスの島を舞台に、ある作家が魅了された読書会をめぐるミステリー。第2次世界大戦中、イギリスで唯一ナチスドイツに占領されたチャンネル諸島の1つであるガーンジー島。そこに暮らす人々の支えとなっていたのが、島での読書会とその創設者であるエリザベスという女性の存在だった。人と人の心を本がつないだ事実に強く興味を抱いた作家のジュリエットは、読書会に関する記事を書こうと島を訪ねるが、島にはエリザベスの姿はなかった。読書会のメンバーと交流をしていく中で、ジュリエットは彼らが重大な秘密を隠していることに気づいてしまう。
引用:映画.com
豪華なキャスト~イケメン、マシュー・グードについてちょっと語ります~

本作のキャスト、豪華なんですよね。そしてダウントンアビー出演者が多い。
- 主人公・ジュリエット役のリリー・ジェームズ
- ジュリエットを支える良き友・シドニー役のマシュー・グード
- 読書会の設立者・エリザベス役のジェシカ・ブラウン・フィンドレイ
- 読書会メンバー・アメリア役のペネロープ・ウィルトン
主要な登場人物のうち、4人もダウントンアビー組という。
私はダウントンアビー未見なんですけど(未見なんかい)、ファンにとってはたまらないでしょうね。
しかしこれだけ1つのドラマからの出演者が多かったのは何でだろう?ロケ地がイギリスで、俳優陣もイギリス人が多いから?ちょっと調べてみましたが、そこは分かりませんでした。気になる…。
さて、それはさておいて。
本作でマシュー・グード演じるシドニーというキャラクターがいるのですが、彼すごく良かったです。
シドニーはジュリエットの良き友で、彼女を理解し、そばで支えて見守ります。
父のようであり、兄のようでもあり、時には恋人のようにも見えるんだけど、決して男女の仲ではない。
この絶妙な距離感が最高。
マシュー・グードは映画『イノセント・ガーデン』にも出演してまして、この時も素晴らしく素敵でした。
ちょっと危うい魅力を持ったセクシーなキャラクターで、実は殺人鬼という人物だったのですが、そんな役を見事に演じています。
見た目もすらっとしてて知的でハンサムだから、まさに「魅力的な殺人鬼」役にピッタリだったんですよね。あぁ素敵。
ジュリエットと手紙を通じて交流する読書会のメンバー・ドーシーは、ミキール・ハースマンが演じています。
あの超大作人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」にも出演していたようですが、GOTは登場人物多すぎて覚えられないっていうのと、そもそも、S4あたりで私が挫折しているので(これが大きな原因)どんな役柄かわかりませんでした。
そんな彼も、かなりのイケメンであります。
マシュー・グードといい、ミキール・ハースマンといい、小顔なんですよね~。羨ましい。
そんな風に目を潤してもくれる本作ですが、一番の魅力はやっぱり、そのストーリーです。
ジャンルはミステリーだけど…

本作のジャンルはミステリー。ですが、ゴリゴリの謎解き映画ではありません。
この映画における謎とは、
- 戦時中にガーンジー島の読書会を創設したエリザベスの行方
- 読書会メンバーが彼女の不在について語ろうとしない理由
この2つです。
ですが、恐らく大半の観客は序盤で気づくはず。エリザベスは、もう死んでるんじゃないか?ということに。
じゃあ、そんな観客が予測出来てしまう分かり切った謎を、ジュリエットは何のために追うのか。
それは、ジュリエットがエリザベスの行方を追うことで読書会メンバーの過去を振り返り、戦争の悲惨や、人との繋がりの大切さを伝えるためではないかな、と思いました。
本当に、愛に溢れた映画だった

本作を観ていて一番感じたのは、人との関わりの温かさを感じるシーンが多いということです。
登場人物達の関係ひとつひとつに愛を感じるのです。
ガーンジー島の読書会に魅力を感じて、急遽島を訪れたジュリエット。
彼女と読書会メンバーの間には最初こそ距離が感じ取れますが、徐々に彼らは絆を深め、友情を築いてゆきます。
郵便局長エベンのひょうきんさ、頑ななアメリアが少しずつジュリエットに心を開いてくれる様、そしてジュリエットとアイソラの友情。
そして戦時中に、読書会を立ち上げたエリザベスがパーティーを開くシーン。
彼女は参加した読書会メンバーたちに、人が生きるために本当に必要なのは人と人との繋がりだという事を思い出させてくれます。
それから先にも書きましたが、ジュリエットとシドニーの関係。
ジュリエットがシドニーに、アメリカ軍人・マークと婚約した事を報告をしたとき、シドニーは彼女に「幸せ?」と聞いてくるんですよね。
この時は「幸せよ。」と答えるジュリエットでしたが、シドニーは、ジュリエットが心の隅でマークとの関係に違和感を抱いている事を分かってたんだじゃないか?と感じました。
だけど分かっていながらも、この時のシドニーの受け答えが最高なんです。
「君が幸せなら、僕も幸せ。」
と言うんですよ、彼は。
ハート撃ち抜かれるわ。
相手を尊重して意見を押し付けないけれど、めちゃめちゃジュリエットの事を心配しているのが伝わってくるシーンです。
ジュリエットが住むロンドンのアパートの大家さんは、ちょっと口うるさい老婦人。
作家であるジュリエットがタイプライターを打つ音がうるさいから(本当に階下にめっちゃ響くのね、タイプライターって)「〇時以降はタイプライター禁止!」と言ってくるような大家さんです。
ですが、ガーンジー島から戻ってから落ち込んだ様子でタイプライターを打たなくなってしまったジュリエットを心配して、「こんなに静かなんだったら、タイプライターでうるさい方がましだわ!」と言うんですよね。
この素直じゃない心配の仕方が本当に可愛い。そして、ジュリエットを気にかけている事が伝わってきて微笑ましい。
この映画の中での他人との距離感、理解、心遣いが、観ている私の心にも温かみを残してくれました。
戦争が残す傷痕
直接的な死や暴力の描写は少ないですが、本作は戦争がもたらす悲劇、人に残す傷も描写されています。
そんな状況を背景にしているからこそ、希望や笑い・人との繋がりが大切なのだ、というメッセージが際立っていたように思います。
私は恥ずかしながら、戦争について、教科書に書かれている以上の事を知らなかったんですよね。
元々戦争を扱った映画は辛すぎて直視できない事もあり、あえて戦争という事実について自分から調べたこともありませんでした。悲しくなってしまうので。
ですが今回、本作がすごく心に残った事もあり、「ナチス・ドイツによるチャンネル諸島占領」について、鑑賞後に色々調べてみました。
ここでは詳しくは書きませんが、やはり映画で描かれている以上に、チャネル諸島のナチ占領は悲惨なものだったようです。
トート機関の労働者、子ども達の疎開、占領中の島民の孤立した生活、当時の医療の実際。
ちょっと調べただけでも、辛くなるほどの事実がたくさんありました。
文から想像するだけでこんなに辛くなるのですから、それを目の当たりにして生きてきた人々はどれほど辛かったか。
戦争は皆を傷つけるだけで、一つも良い事がない。
そんなあたりまえの事を、改めて教えてくれる映画って本当に大切です。
映画作品ですから、フィクションや涙を誘うように演出されているものももちろんあるでしょうが、「そういう歴史があったんだ」と知るきっかけをくれるのですから。
エリザベスが繋いだもの

戦時中の絶望的な状況の中、エリザベスが繋いでくれた読書会メンバーの絆は、彼らの希望でした。
ですが、そんな彼女が奴隷の少年を助けようとしてドイツ軍に逮捕されてしまい、その事が読書会メンバーの心に影を落とします。
エリザベスがいないことで、ドイツ軍が引き上げた後も、読書会メンバーの中では戦争が終わっていないのです。
特にアメリアとドーシーはそうだったのではないでしょうか。
アメリアは戦争で実の娘を亡くし、その娘の親友で娘のように思っていたエリザベスも失っています。アメリアにとっては、子どもを2人失ったようなもの。
そんなアメリアが、エリザベスとドイツ兵のクリスチャンが付き合う事を受け入れられないのも、分かる気がします。
ですが、その後クリスチャンが死亡してしまい、エリザベスも逮捕されてしまった。
その事でアメリアは「あの時エリザベスを受け入れてあげなかった」と自分を責め、エリザベスとクリスチャンの娘・キットが、いつかドイツ軍に奪われてしまうのではという恐怖も抱えているのです。
エリザベスを思い出しても、キットを見ても、後悔や恐れを思い起こしてしまう彼女の心情の描写は痛々しく、戦争さえなければ…とつい思ってしまいます。
ドーシーは、エリザベスが逮捕された夜に最後に彼女に会っています。
奴隷の少年を救うため、外出禁止の夜間に病院へ行くというエリザベスを止められなかったこと、銃声が聞こえた時に、エリザベスを助けに行かなかったことを後悔しています。
キットを育てているのには、彼の贖罪もあるのだろうか、と考えてしまいました。彼の戦争もまた、終わっていないんですね。
ジュリエットがもたらしてくれたもの

ジュリエットは読書会に強く惹きつけられ、エリザベスの行方について調査し、読書会メンバーの過去についても少しずつ知っていきます。
そんなジュリエットの存在は、読書会メンバーが一歩踏み出すきっかけをくれたように思います。
自分の過去を振り返る事で、目を背けていた事実と向き合う事にもなりましたし。エリザベスの死を知り受け止めたことで、宙ぶらりんだった彼らの心に1つの区切りがついたのではないでしょうか。
彼らの終わっていなかった戦争という呪縛からも、一歩抜け出せたのではないかな、と感じました。
人の繋がりの大切さを教えてくれたエリザベスは、彼らにとって大切な存在だったはず。
それなのに、彼女を思いだす時はいつも戦争や後悔、自責の念も思い出してしまうというのは、本当に悲しい事ですものね。
生きていく上で必要なものは

戦時中~戦後のガーンジー島を通して、人が本当の意味で生きていくのに必要なものは、人とのつながりと希望という事が描かれていた本作。
それだけじゃおまんま食い上げよ!という意見もありそうだけど、確かにそれもそうで、現実的にはお金も物も必要だと思います。
だけどやっぱり、物とお金だけで本当の充足感は得られないというよく言われる事実を、この年になるとしみじみと感じるんですよね。年齢言わんけど。
お金、物、愛情、バランスとれてれば一番良いのでしょうが、そんな人って本当に希少。
それぞれが満たしてくれる部分があってどれも大切だけど、どれか一つを選べと言われたら、やっぱり人との繋がりや愛情を選ぶかなぁ。
本作を観た後だと余計にね!
もっと若い頃の私だったら、「お金。」と言ってたかもしれませんけどね。
普段サイコパスが出てくる作品ばかり見てるので、「人の心って闇。真っ黒け。」と感じるが多いのですが、本作はそんな私の心を見事に解毒してくれました。
心ってあったかいね…。
インドア体質で人との関わりがあまり多くない自分だからこそ(そしてサイコパス作品ばっかり見てる自分だからこそ)、こういう温かい繋がりに余計憧れるっていうのはあるかもしれません。
現実にはこんな温かい人達ばかりではないことも分かっているからこそ、尊い映画だよなぁ、と感じました。
おわりに

以上、『ガーンジー島の読書会の秘密』のレビューでした。
いや~、久々に温かい気持ちになれた映画でした。とても晴れやかな気分です。
リリー・ジェームズのはつらつとした可憐さ、マシュー・グードとミキール・ハースマンのイケメンぶりも見逃せない要素ですし、ガーンジー島の海・空・緑も本当に美しい。
戦争についてちょっと勉強してみよう、と思ったきっかけの作品にもなって、私にとって印象深い1作になった事は確かです。
観たことのない方は、ぜひぜひ鑑賞を。おすすめします。
作品情報
原題 | The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society |
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製作国 | イギリス・フランス合作 |
製作年 | 2018年 |
上映時間 | 124分 |
監督 | マイク・ニューウェル |