どうもおのじ(@ozy_san_0624)です。
大分前になりますけど、『犬鳴村』観てきましたよ。感想を書こう書こうと思っているうちに、すっかりひと月たってしまいました。

誰もが知ってる心霊スポット、旧犬鳴トンネル。その付近にあると言われている犬鳴村が舞台の映画で、しかも監督は清水崇。
いちホラー映画ファンとしても、期待しかないですよねぇ。
犬鳴村伝説の復習もしたし、映画冒頭8分映像の予習もすみ。『犬鳴村』、ばっちこいじゃん。
今回はそんな迎撃態勢で観てきた『犬鳴村』の感想を、いまさらながら書いていこうと思います。
※ネタバレ注意です。
Contents
良くも悪くも、思ってたのと違った

結論から言うと、面白かったです。だけど本作を見終わった後にまず感じたのは、
これでした。
鑑賞前に想像していたのは、旧犬鳴トンネルと犬鳴村で起こるめくるめく怪奇現象の数々といったホラー要素強めの展開だったのですが、実際は犬鳴村の「血筋」や「家族」がメインテーマの、ホラーミステリー映画だったんですね。
私は家族をテーマに据えたホラーが好きなので、このストーリーはとても楽しめました。
の・で・す・が。
いかんせん、ホラー度が高いだろうという思い込みを持って鑑賞してしまったもので。「面白い!」と思うまでにちょっと時間がかかってしまいました。
全体は怖くないけど、怖いシーンはしっかりある

さてさて、最初に肝心のホラー描写について書いていきますと。
映画全体を通してみると「怖い」という印象は薄めでした。
ホラーシーンの山場は、レビューでも散々言われている通り冒頭8分の映像。それは評判通りで、この冒頭シーンすごく好きでした。
POV形式から始まり、トンネル内でカメラが動いた一瞬、端に何かが映り込む。この手法で立て続けに攻めてきて、何かいるのにはっきり見えないという恐怖心と、怖いのに確認したくなる心理を煽ってくるの、とっても良い。
「何か来る」って分かっていても怖いのがたまらないのよね。
そしてトンネルの先には、噂通りの「コノ先日本国憲法通用セズ」の看板と朽ちた村。
都市伝説通りの内容が実写化されているのを見て、とてもテンションが上がっちゃって上がっちゃってまぁ。
冒頭シーンがユーチューバーの撮影風景っていうのも何だかリアルですよね。
昔はインターネットの掲示板で都市伝説やオカルト話が広がっていく印象でしたが、今は動画が主流ですもんねぇ。
掲示板の時代も知っている身として、こういう所にリアルさと時代を感じてしまいました。
もうひとつ、冒頭以降のホラー描写で怖かったのは、三吉彩花演じる主人公・奏が働く病院に現れる幽霊、“もう1人のママ”です。
奏の担当している少年につきまとっているのですが、この霊がねぇ、私のイチオシ幽霊なんですよ。
びっくり演出でもチラッと見せる方式でもない、じっくり見せる怖さで、これぞジャパニーズホラー!とぞわぞわしましたよね。
洋画ホラーのように特殊メイクをしているわけでもないのに、幽霊の表情が怖いこと怖いこと。ぞっとするよあの目…。
演じてる女優さん、すごくない?
村人たちは、怖いというよりも同情
冒頭と病院でのホラー描写はとても素敵だったんですが、以降はあんまり怖くありません。あんまりっていうか、正直言うと、怖くないです。
人が飛び降りてきて車に激突するシーンも、本編で観るとそれほど恐怖を感じず。予告で観た時はびっくりしましたけどね。
虐殺された犬鳴村の住民たちが束になって襲ってくる所なんて、怖いというよりは「ですよね」って感じてしまう。
あんな悲惨な目に合わされたんですもの、そりゃ人格変わるだろうし、触れるものみな傷つけるナイフのようになっても仕方ないでしょうよ。
家族がテーマのストーリー※ここからネタバレ注意

メインは血筋や家族がテーマのホラーミステリーと書きましたが、このストーリー展開、とても面白かったです。そして好き。
- 犬鳴村の血筋が、俗にいう狗神憑きのようなものであること
- かつて激しい差別により、村の住民が虐殺されてしまったこと
- 奏の母方の祖母が犬鳴村の生き残りだったこと
村の亡霊に導かれながら、真実が少しずつ明らかになっていく過程にドキドキしましたし、それが分かった時の悲壮感といったら。
全体を通して観ると怖くないと書きましたが、犬鳴村の住民に同情できるストーリーになっている事も、大きな要因の一つかなと感じました。
犬鳴村の都市伝説も元々…
余談ですが、犬鳴村の都市伝説って、
- 立ち入ったら生きては戻れない、地図から消えた村
っていうイメージが強いですけど、色々読んでみると、差別されてきた人達の事が語られてるんですよね。
江戸時代以前より、激しい差別を受けてきたため、村人は外部との交流を一切拒み、自給自足の生活をしている。近親交配が続いているとされる場合もある。
引用:wikipedea
この部分。
犬鳴村の入り口にあると言われる「この先日本国憲法通用せず」の看板について、清水監督は、「外の人に向けて”足を踏み入れたらどうなるかわからないよ”ではなく、差別的に”この先の人は人ではないよ”という内にむけての悪意に置き換えた。」とインタビューで語っていました。
その言葉通り、本作では過去に犬鳴村の住民に行われた苛烈な差別と虐殺、そこから始まった呪いが描かれています。
都市伝説である犬鳴村伝説が、より現実味のある恐怖に落とし込まれているなぁと感じたのはこのためなのかも。
自分達の常識が通じない集落という得体の知れなさも怖いですが、人としての扱いをされず、住民が命を奪われ、ついには村の存在ごと消されてしまう…って、実際に過去にありそうで恐ろしいですよね。
広がった風呂敷の締め方、好き
好みのストーリー展開だった本作ですが、これだけ広がってしまった呪いを一体どう収束させるのか?
本作では、ラストも納得のいく形で、きちんと締めてくれていました。
終盤では、旧犬鳴トンネルに行ったまま戻ってこない兄と弟を助けるため、奏もトンネルへ向かいます。
トンネルをくぐるとそこは…という、千と何とかの神隠しみたいな流れを経て、過去の犬鳴村にタイムスリップ。
村に囚われていた兄弟を救いつつ、かと思ったらあれよあれよと兄が犠牲になり、村で出会った赤ん坊(後に自分達の祖母となる)を助け出して、奏と弟は現代へ戻る…というタイムトラベル要素も交えての展開になっています。
まるでメビウスの輪のように、現代から過去、過去から現代へ渡る登場人物。
その結果生じる、「果たして卵が先だったのか、それともヒヨコが先だったのか?」という良いもやもやも、心の隅に残してくれました。
そしてラストは、犬鳴村の血筋は奏たち以外にも…という、謎と余韻を残してくれていました。
ラストで流れるエンディングテーマと、本物の旧犬鳴トンネル

そしてそこで流れてくるのが、Ms.OOJAのエンディングテーマ「HIKARI」ですよ。
切ない歌詞とメロディが映画にめちゃくちゃぴったりで、映画の余韻を壊さないどころか、ますます高まるという。
そしてその曲をバックに流れてくる映像が、なんと本物の旧犬鳴トンネルなんですね。
劇中に出てくる旧犬鳴トンネルは、本物に似せた別の場所で撮影したものなんだそうです。演出などで、それでもかなり不気味に映っていましたが、やっぱり本物は雰囲気が全く違う…。
じっとりとした空気の重さと冷ややかさが、映像を通して伝わってきました。絶対に近寄りたくない。
監督・脚本家で視察に行った時も、暑い時期だったにも関わらず、トンネル付近に来ると汗がひき、鳥の声も止み、脚本家の乳首も立ったんだそうですよ。
ぞっとしますよね。乳首がたつほどって、こわっ。
旧犬鳴トンネルの入り口はブロック塀でふさがれてるんですが、なぜか完全にはふさがれてないんですよね。
上の方に、人が入れるだけのスペースが開いてる…。
清水監督が「どうしてトンネルを完全に塞いでしまわないのか」と話していたのですが、ほんとですよ。
何はともあれ、実際に自分の目で旧犬鳴トンネルを拝む日は絶対に来ないので、本物の旧犬鳴トンネル映像を観れたことは、なんだか感慨深かったです。
清水監督のインタビュー、先にみとけばよかった
そんな映画『犬鳴村』でしたが、ほんと、監督のインタビュー、先に見てから鑑賞すれば良かった…とつくづく思いました。
今回は事前情報なしで見てみたい!と思ってインタビューとか全く見ないで臨んでしまったんですよね。我慢できなくて、冒頭8分映像は先に見ちゃったけど。
インタビューで、清水監督はちゃんと、「心霊スポットをベースに家族を描いた」って言ってたのになぁ。
それを知っていれば、映画観ている間に「あれ?意外と怖くない…。あ、こっちの方向性?おーけー、おーけー…」っていう気持ちのブレがなく楽しめたんだろうなぁと思うと、本当に悔やまれる。
このタイムロスが私にとって大きかったからなぁ。
続編の製作が決定。次に題材になる村は…
/
『#犬鳴村』に続け!
実録!恐怖の村シリーズ
第2弾製作決定⚠️💀
\次の舞台になる村はどこだ⁉
さらなる恐怖の村大募集👻👻『#ホニャララ村』をつけて、舞台にしたい村をツイート🕊
あなたの村が映画になるかも…⁉👀
どんどん応募お待ちしております! pic.twitter.com/hgL5FnLKFk
— 映画『犬鳴村』公式 (@Inunakimura2020) February 28, 2020
そして早くも、続編の製作が決まっているみたいじゃないですか。めちゃくちゃ嬉しい!
私、都市伝説系の村って、あとは杉沢村くらいしか分からないんですが。他にもどこかの村が題材になってる都市伝説ってあるのかしら?
「実録恐怖の村シリーズ」ってことは、上手く行けば第2弾、第3弾…と続くのかも?現実になれば、こんなに嬉しい事はないですよね。
次の題材になる村はまだ決まっていないようですが、都市伝説に拘らずに製作されていく可能性もありますよね。
うーん、気になる~!
終わりに

以上、映画『犬鳴村』のレビューでした。
今年に入ってから『シライサン』といい『犬鳴村』といい、ジャパニーズホラーが快調ですんごく嬉しい。
今後も洋画ホラーに負けず、ジャパニーズホラーもどんどん出てきてくれたら…!
特に犬鳴村の村シリーズが、今後どうなっていくのかは要チェックですよね。
ツイッターから募集されていて、参加型なのも良い感じ。
想像を絶するような村ホラーを期待して、楽しみにしておこうと思います。
作品情報
原題 | 犬鳴村 |
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製作年 | 2020年 |
製作国 | 日本 |
上映時間 | 108分 |
監督 | 清水崇 |