どうも、おのじ(@ozy_san_0624)です。
2019年1月にNetflixで配信になった、Netflixオリジナルドラマ『キングダム』。
韓国製作の「ゾンビ×時代劇」という異色の組み合わせが、とても面白いホラードラマです。初めて見たとき、そのストーリー・映像のすばらしさに「何だこのドラマは!」と驚いたのを覚えています。
あまりの評価が高く、S1配信前からS2の製作が決まっていたというのも納得でしたし、ニューヨークタイムズが選ぶ”最高のテレビ番組TOP10”にも選ばれたのも頷けます。
それほど衝撃的な面白さでした。
そんなシーズン1配信から早1年2ヶ月。
2020年3月に、やっとシーズン2が配信されました!

感想を書くのはいつものごとく遅いですが、実は配信初日にビンジウォッチングしておりましたよ。
もうー、すごい。
やっぱりキングダムはシーズン2も面白かった!
「王がゾンビになる過程」がイントロになってるところからして、心を鷲掴みにされます。
※シーズン1、シーズン2ともに激しくネタバレしています。未見の方はご注意ください。
Contents
原作漫画「BURNING HELL/神の国」
『キングダム』には、実は原作漫画があったんですね。せっかくなので、シーズン2配信を機に読んでみました。
漫画には「BURNING HELL」と「神の国」の2編が収録されてて、このうち「神の国」が『キングダム』の原作になっているようです。
さてどんな内容だったかというと、地名や人物などの設定に一部共通点はありましたが、ストーリーはドラマとほとんど違う内容でした。
物語のキーとなる「生死草」の存在もなかったのには驚き。
王子もまだまだ幼い子どもだったし。
漫画では「生死疫」という病が存在していて、これがドラマの「生死草」の元になったと思われます。
名前は違いますが、医女ソビや、ソビの師匠のモデルと思わしき人物も出てきます。
ストーリーは全く違いますが、設定の違いがとても興味深かったです。
簡単にシーズン1のおさらい

シーズン1が配信されたのが1年も前なので、ここで軽くおさらいをしておこうと思います。
『キングダム』が面白い理由は2つ。
それが、韓国時代劇の醍醐味である「王宮での陰謀・権力闘争」と「ゾンビとの戦い」です。
この掛け合わせが本当に新鮮。それでいて、かなりの高クオリティで描かれているのだからすごい。
韓国ドラマ・映画の強みを、全面に出してきてますよね。
王宮で繰り広げられる権力闘争

権力争いは、主人公である世子サイドと、王宮内で絶大な権力を握っているチョ大監一族の間で繰り広げられます。
チョ一族にとっては、王位継承者である世子(セジャ)は目障りな存在。
自分達の権力をさらに固めるためにも、チョ大監の娘である王妃(妊娠中)に、何としても次の王となる息子を産ませたいわけです。
王妃に息子が生まれれば、自動的にその子が次の世子となり、自分たちは国母の親族としてさらに強い権力を握れるからです。
生死草が使われた経緯
ところが、王妃の妊娠は実は真っ赤な嘘でした。
秘密裏に妊婦たちを集め、誰かが男児を産んだらその子を奪い、王妃の息子として世子に仕立て上げる計画だったのです。
ですがそんな待望の男児を手に入れる前に、王が死んでしまいます。
このままでは今の世子が王になってしまう。王妃が男児を手に入れるまで、王にはどんな形でも生きていてもらわなければ困る。
そんなチョ一族の思惑から用いられたのが「生死草」です。
原理は不明ですが、死者をよみがえらせる効果がある、不思議な薬草です。
ただし蘇った死体に理性はありません。
夜な夜な動き回り、人を見ると襲い掛かり喰らいつく様は、まさにゾンビそのもの。そして噛まれた者は感染し、同じくゾンビになってしまうのです。
シーズン1では、王に噛まれて死亡した者の死体を、飢饉で苦しむ村人たちが食べてしまいます。
それにより爆発的にゾンビが増えて、人を襲うという地獄絵図が繰り広げられました。
そして夜に活動するはずのゾンビが、シーズン1ラストでは昼間にも動き出して、一体全体どうなっちゃうの!?という所で締めくくられていました。
- 王宮内でのチョ一族の陰謀
- 「生死草」を使うと死者がゾンビとして蘇る
- ゾンビに噛まれると感染
- 急激に国中に増えるゾンビたち
- ゾンビは夜にだけ活動…と思ったら昼も動き出した!
民を守ろうと奮闘する世子様

私がキングダムにハマったのは、その設定の新鮮さ・ストーリーの面白さがあるから。
そして、主人公・世子(セジャ)様がとにかくイケメンだからです。
演じるのはチュ・ジフン。
王子の役だからってだけじゃなく、気品漂う俳優さんですよね。
登場人物達がみんな「世子様!世子様!」って呼ぶもんだから、私も普通に世子様と呼びますけども。
さて、このイケメン世子様ですが、シーズン1と比べて、はるかに王族らしくなっていました。もちろん良い意味で。
前作では正義の心は持ちつつも、まだまだお坊ちゃん感が抜けていないと印象でした。ですが本シーズンでは、反逆者として追われながら、ゾンビとの戦いを潜り抜け、師であるアンヒョン様に王族としてあるべき姿を説かれ、民を守ろうと奔走。
その姿に貫禄がにじみ出ていましたね。
兵たちが「世子様だけでもお逃げ下さい!」と言うような危機一髪の場面でも、人々を守ろうと、兵も村人も見捨てずに指揮をとる姿にジーンとしたしキュンとしたし。
実は漫画でも、良い王は決して家来を見捨てない、というセリフが出てくるんですよね。ストーリーが変わっていても、根本のメッセージはちゃんと汲まれていて、原作へのリスペクトを感じました。
アンヒョン大監とムヨンの存在
シーズン2では、世子様を支える2人の人物がいました。
それが、アンヒョン大監と、武官のムヨンです。
この2人の運命には、本当にびっくり。
思わず「そんな…」と声がもれました。
アンヒョン大監の過去

世子様のお師匠様である、アンヒョン大監。
彼とチョ大監との過去の因縁が、ちょっとだけ映し出されていましたね。
昔他国に攻められた時に、生死草でゾンビ化させた兵士を使っていたなんて。
当時、軍の指揮を取っていたのがアンヒョン様。そんな彼に生死草とゾンビ兵の話をもちかけたのは、もちろんチョ大監。
初めは反発するアンヒョン様でしたが、やはり最後には受け入れざるを得ず。国が滅ぶかどうかの瀬戸際でしたから、民達を守る為にはいたしかたなかったのです。
結果、戦には勝つことができ、アンヒョン様は国から英雄として讃えられることに。ですが同時に、心に重い十字架を背負うことになってしまったのでは?と思います。
「民のために国がある」と考えていたアンヒョン様にとっては、兵の命を弄ぶような行為はまさに汚点であり、大きな傷だったのではないでしょうか。
そんなアンヒョン様も、世子様と共に王宮に乗り込んだ際、討ち取られてしまいます。
このシーンは本当に悲しかった。
世子様が幼い頃から、正しいこと、世子としてあるべき姿を教えてくれたお師匠様。
そんな彼の、壮絶な最後。
そして過去、自らが兵士達にした事への贖罪なのでしょうか。死んだ後、自分の死体に生死草を使うようソビに命じておきます。

そしてゾンビ化した自分を見せる事で、生死草やゾンビの存在を疑う兵士達にその存在を信じさせ、世子様の味方とするのです。
チョ大監にも一矢報いたし、アンヒョン様の信念を感じる場面でした。
ムヨンの事情

一方、シーズン1から世子様と行動をともにしてきたムヨン。
彼は時にコミカルに世子様相手に軽口をたたき、戦闘時は武官として世子様を守る、良き相棒のような存在でした。
そんな彼がチョ一族のスパイだったというのは、本当にショック。
でもちゃんと事情があったのが救いでした。
ムヨンの身重の妻が人質状態だったのが、スパイをせざるを得なかった理由。妻をとても大事にしてましたからね。
そんな彼もシーズン2半ばで命を落とし、まさかの退場となります。
世子様を支えるアンヒョン様とムヨンの死は、観ている私も大きなダメージを食らいました。
アンヒョン様、密かに好きだったのに。
それに、主要人物2人の不在は、ストーリー的にも大きな痛手ですよね。
世子様とチョ一族の対決の行方

こんなにあっさり主要人物がいなくなってしまって、これからどうなるのよ。チョ一族に対抗できるのか~?…なんて思っていたら。
チョ一族との対決の結末も、早くもシーズン2であっさりと決着がついてしまいました。
韓国時代劇って、すっごく話数が多くて、最後の最後まで悪役がしぶとく活躍するイメージがあるじゃないですか。だからチョ一族も、ちょっとやそっとでやられるはずないよな、なんて思っていました。
ですが蓋を開けてみれば、チョ大監は王妃に毒殺され、王妃はゾンビに食い殺されて感染。
思っていたよりも、本当にあっさりと決着がついてしまいました。
ストーリーの流れから見て、決して彼らの死が不自然なわけではありません。なんだけど、ただちょっと拍子抜け感が…。
チョ大監も王妃も、いればいたでものすごく腹立たしいキャラクターなのですが、いないといないで何だか張り合いがないというかね…。
これは視聴者のわがままでしょうか。
ゾンビとの対決もクライマックスへ!増えに増えたゾンビの運命やいかに。

『キングダム』の見どころの一つに、ゾンビとの戦闘シーンがあります。
刀で、銃で、弓で戦い、それでもダメならタックルからの肉弾戦!だけど噛まれちゃいけないんだぜ!という無茶ぶりの中で、世子様たちがバッタバッタとゾンビをなぎ倒してゆく。
そんな戦闘シーンをハラハラしながら見るのも楽しいのです。
加えて本作のゾンビは、めちゃくちゃ俊敏です。
全力ダッシュができるタイプのゾンビなので、追われているときの恐怖感が半端じゃない。
それはさておき、シーズン2でもゾンビとのバトルシーンでは、しっかり魅せてくれました。
王宮内ってこんなに数えきれない人数が働いていたんだすごっ!とまず驚きましたし、その人達が全員ゾンビ化して世子様達に襲い掛かかってくるという絶望感。
ゾンビの武器って、私は感染力と数の暴力だと思っているのですが、それらが有効活用されると、こうも絶望的な絵面になるのか…と実感。
何度も言いますが、韓国エンタメすごい。
そして、これだけの数のゾンビを一掃する世子様のアイデアもさすがでしたし、その作戦が上手く行くのか!?行かないのか!?というせめぎあいも熱かった。
私、ハラハラするシーンって耐えられないんですよね(ホラーファン失格)。
なのでそういう場面はつい早送りしちゃったりする事もあるのですが(映画ファン失格)、キングダムの最終決戦はしかと目に焼き付けましたよ。
みんな熱かった。私をたぎらせてくれて、ありがとう、ありがとう。

余談ですが、ゾンビ化した王妃、結構怖かったですよ。
王妃ゾンビは衣装がとても美しいのですが、衣装が豪華なのに中身は理性のないゾンビって、何だか視覚的にぞっとしてしまうんですよね。
キングダムのシーズン1~シーズン2中盤までは、ゾンビ化するのは大体平民たち。
ぼろぼろの平民服を着たゾンビを見慣れてしまったから、余計に王妃ゾンビを恐ろしく感じたのかもしれません。
美しい衣装で、白目を見開きながら走り迫ってくる王妃のビジュアル、最高でした。
彼女(ゾンビver.)の出番が少ないのが、ちょっと残念。
ゾンビ化の真実

ゾンビの特徴は、いくつか判明していました。
- 夜間に動くのではなく、温度が低い時間帯に活動する
- 火と水を嫌う
- 噛んだ者を感染させる
ですが元凶の生死草自体の謎は、まだすべて明らかになっていません。
ただ、なぜ薬草1つで人がゾンビとして蘇ってしまうのか?という問いには、答えが示されいました。
まさか人がゾンビ化する原因が、生死草についている寄生虫のせいだったとはね。
これは今までのゾンビものとは一線を画す設定で面白いなと思ったし、キングダムの世界観に「寄生虫」という要素がぴったりでした。
これが「未知のウイルスが原因だった!」とかだと、やっぱりちょっと不自然。
キングダムは15~16世紀の朝鮮半島が舞台で、ウイルスの存在が発見されたのはもっと後の時代ですものね。
だからといって「呪術が原因でした!」とか、変にファンタジーに寄せてはいないし、「下手すると本当にあるかも?」と思わせてくれる怖さがある。寄生虫ですよ、寄生虫。こわっ。
本当に良い設定だったと思います。

それにしても、ゾンビ化の原因を突き止めたソビは、本当に素晴らしいですね。
本作で世子様に次ぐ活躍をしていた彼女。彼女の情熱、医女としての矜持には、目を見張るものがありました。
だってあのチョ大監を一度は救ったんですから。
実はチョ大監、ゾンビ化したアンヒョン様に噛まれたんですよ。
私なんかは「自業自得だし、ほっといて良いんじゃね?(あくび)」なんて思ってたんですけど。
でもソビはちゃんと助けるんですよね。医療の前では、敵も味方も関係ない!ということなのか。その心意気、素晴らしい。
でもチョ大監を助ける過程で、「寄生虫は水に弱く、噛まれた人物が死ぬ前に水に浸けると、虫が体から出ていくという」という弱点が判明しましたからね。
ソビのキャラクター性を強調する以外にも、チョ大監を助けた事は、ストーリー上で重要な意味があったんだなぁと感じました。
寄生虫の弱点が分かった後は、あっさり王妃に殺されちゃいましたけどね。
王宮での騒動後、自分は死んだ事にして、生死草の行方を追っている世子様。そして、世子様と行動をともにしているソビ(ヨンシンも)。
まだまだ謎が多く残されている生死草の真実を知るためには、医学の知識があるソビの存在が必要不可欠です。
アンヒョン様、ムヨンの退場は痛いですが、シーズン3でも彼女の活躍が期待できそうなのは、本当に嬉しいですね。
あ、ヨンシンもね。
生死草の謎を握る人物
それから、最後のゲストにびっくりしました!
ラストシーンに、『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョンが出てましたね!
しかもどうやら、生死草を故意に広めている様子。
人がゾンビ化する事も知っていて広めているようだし、彼女の真意やいかに?
そして新しい王(実はムヨンの息子)となった、世子の弟にも変化がありそう。
赤ん坊の時に王宮でゾンビに噛まれ、寄生虫はソビが抜いてくれていたのですが…。その抜けたはずの寄生虫が、皮膚の下をうごめいて彼の脳へ向かうシーンがありました。
王宮での悲劇がまた繰り返されるのかしら?なんてハラハラしてしまいましたが、果たしてどうなるんでしょうか。
S3の情報は今はなし。だけど?
まだシーズン3製作についての情報はありません。
ですが、まだ多くの謎がまだ残っていますし、続きを期待させる終わり方をしているので、これで終わりって事はないと思っています。
それにシーズン1、シーズン2ともに評判が良いので(IMDb8.3、ロッテントマトではS1は93%、S2は100%)、その点からもシーズン3製作の可能性は高いのではないでしょうか?
おわりに

以上、『キングダム』シーズン2のレビューでした。
最近の韓国エンタメ、以前にも増して面白さに磨きがかかっているように思います。
映像の美しさやストーリーの面白さもさることながら、俳優陣のガッツが素晴らしい。
キングダムは極寒の韓国で撮影されています。
どれだけ寒いかというと、主演のチュ・ジフンが上手く刀を持てなかったり、唇が凍ってセリフ言えなかったりするほど。
そんな寒さの中、ゾンビ役の俳優さんたちはものすごい薄着なんですよね。ほぼ布1枚に見える。
それであの渾身のゾンビ演技ですもの。迫力があるのも頷けます。
シーズン1、シーズン2ともに1話約1時間、全6話で観やすい構成ですので、未見の方には強くおすすめしたいドラマです。(こんだけネタバレ書いといてなんですが)
チョ一族との決着もつき、ゾンビ騒動も一段落しましたが、まだまだ波乱がありそうな『キングダム』。
シーズン3の製作を気長に待とうと思います。
作品情報
原題 | Kingdom |
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製作国 | 韓国 |
配信 | シーズン1:2019年、シーズン2:2020年 |
話数 | シーズン1・シーズン2ともに6話 |
時間 | 1話約60分 |