映画レビュー

【ゲーム】合わぬ解せぬの128分。

私にとっての「面白いのに合わない」映画。

それが本作「ゲーム」なんだぜ。

 

出典:IMDb

 

どうも、おのじ(@ozy_san_0624)です。

あのデヴィッド・フィンチャー監督の映画ということで、めちゃくちゃ期待度が高かった映画「ゲーム」。

そしてその期待は半分間違いではなくて、最後までハラハラとさせてくれるストーリー展開にラストまで駆け抜けました。

 

演出は間違いなく面白いのです。

だけどその設定が激しく解せない。

 

私は「あ、あ、あ…合わん!」なんて思ったのですが、レビューを見ているとそんなに悪いわけではなさそう。

だから「映画の設定に怒ってんの私だけなの?私が心狭いみたいじゃないの。あ、忘れてた狭いんだった。」なんて考えたり。

 

好みの映画、そうじゃない映画があるのは当然ですし、わざわざ「合わない」ってものについて語らなくても良いかな~と思ったんですけど。

だけどこんなに合わない映画っていうも私にとっては珍しいので(しつこい)、何が解せなかったのかを上げていこうと思います。

 

れっつらどん。

 

※ネタバレ注意です。そして批判にも注意。「ゲーム」が好きな方は読まない事をおススメします。

ゲーム:あらすじ

投資家として成功したものの、離婚後、孤独な毎日を送っていたニコラスは48歳の誕生日に弟コンラッドに再会し、CRSという会社のゲームの招待状を受け取る。ニコラスは好奇心からそれに参加するが、その時から奇妙で不可解な事件が続発。命まで危機にさらし、そのあげく財産や邸宅まで奪われることに……。「セブン」に続いてデビッド・フィンチャー監督が放ったサスペンス・スリラー。不条理な恐怖と謎の連続が観る者を不安へ陥れる。

引用:映画.com

 

フィンチャー監督は期待を裏切らない

出典:IMDb

設定のことは後で書くとして、私には合わなかったものの映画自体が面白いのは確かです。

ストーリーに謎は多く、あり得ない勢いと方法で追い込まれていく主人公に、観ている側もハラハラ。そして思わず感情移入したところに訪れる、驚きのラスト。

ストーリー運び、めっちゃ良いじゃないですか。わくわくさせるじゃないですか。

これで設定さえ良ければ完璧だったのに…。

 

フィンチャー監督の作品って、映像に起伏がないというか、配色が落ち着いているというか。観ていて必ず1、2度は眠くなりますすみません。

だけどそれでも観客を最後まで引っ張っていくのだからすごい。

そういう意味では、期待を裏切らなかったフィンチャー作品でした。

私もなんだかんだ文句言いながらも、最後まで観てしまいましたしね!

 

どうしてこんなことされなあかんの!?謎から目が離せない。

「ゲーム」の面白いポイントは、まずその謎多きストーリーにあります。

 

主人公ニコラスに降りかかる災難には、国家レベルの力が絡んでいるとしか思えない。

だけどどうして一個人にそんな災難が?

裏があるんじゃないの?

黒幕は一体誰なの?

どんな陰謀が渦巻いてるのー!?

…と、映画を観ていると気になることばかり。

 

こんな壮大な迷惑を被ってるんだから、犯人の正体を知るまではニコラスはゲームを辞められない。

観ている私も(映画を観るのを)辞められない。

そんな風に、謎にぐいぐい引っ張られてしまうのです。

 

上手い。上手いよ、フィンチャー監督…。

 

疑心暗鬼。周りは誰も信じられない。

謎多きストーリーに加えて、「ゲーム」の面白さを際立たせているのが、「誰も信じられない」という状況に主人公が追い込まれていく過程です。

 

ある意味国家レベルの力に追いつめられているのに、誰も助けてくれない。誰も信じられない。

それなのに嫌がらせの規模だけがどんどん大きくなってゆく。

めちゃくちゃ辛くないですか。ニコラスが可哀そすぎやしませんか。観ているこっちのハラハラも、何度限界を迎えそうになったことか。

 

ですがこれも悪いことばかりじゃありません。

一見非情な状況ですけれど、四面楚歌、疑心暗鬼な状況におかれることによって、観ている側がニコラスに感情移入しやすいのです。

危機に陥ったときも、罠にはまりそうになった時も、まるで自分の家族のように心配してしまうんですよね。嘘です。家族はいいすぎました。

 

通常の映画(通常の映画てなんだ…)だと、ニコラスはとても思い入れてしまうようなキャラクターではありません。

冷たいおじさんだし。気難しいし。傲慢だし。

 

ですがニコラスのそんな人間性より、あまりに周りの環境がひどすぎて、ついつい彼を応援してしまいたくなっちゃう。

 

してやられたよ…フィンチャー監督…。

 

規格外の大きなお世話。それが「ゲーム」

出典:IMDb

はい。ここまで、「ゲーム」の面白かったところを書いてきました。

それだけ見てると、スリラーサスペンスとしては申し分ないように感じますよね?

終始楽しめる映画のように感じますよね?

 

ちっちっち。

 

違うんですよ。それだけじゃないんです。

映画「ゲーム」は、まるでバフ〇リン。
半分は面白さで出来ていますが、もう半分は不可解さから来る苛立ちで出来ているのです。

その解せないポイントをここからあげていきます。

 

まず、演出が面白いなら何が解せないのさ、というと、「ゲームを主催している会社が規格外に余計な世話を焼いている」ということに尽きます。

 

だれしもが一度は「こんな自分嫌…」「人生を変えたい…」なんて考えたことがあるかと思うのだけど、本作の主人公・ニコラスもそうです。

大富豪で仕事バリバリ人生順調人間。
だけど、幼少期に父親が目の前で自殺するというトラウマを抱えていたり、お金はあるけど人徳はない、という孤独なセレブおじさんの典型でもあるのです。

 

出典:IMDb

そんなニコラスが、誕生祝いに弟から「人生が変わるゲーム」を勧められます。

これが人生に最大のトラウマを残すであろう出来事の発端となるわけです。弟恨むよ。

 

自分でゲームを受けるって決めたんだから、そこは自己責任でしょ?なんて声もあるかもしれない。

だけどニコラスの場合、そこまで自分について真剣に思い悩んだわけではないんです。興味本位でゲームを受けてみただけ。

「人生を変えるほどのゲームってどんなもんかね?」って。

 

それなのに本人の思惑とは裏腹に、人格変えられちゃうほどのトラウマゲームに巻き込まれていってしまう。

主人公は「人生が変わるゲーム」がどんなものか興味があったのであって、決して人格を変えたかったわけではないんだぜー!と言いたい。

ニコラスが何も言わないので、私が言っておきたい。

勝手に人格変えるなんて、どんなサイコ発想だよー!!って。

余計な余計なお世話なんじゃーい!って。

 

それすら余計なお世話なんですけどね、はい。

 

タチの悪いドッキリ。それが「ゲーム」

出典:IMDb

そしてなによりも、ゲームっていうのは主人公にとってのゲームではなく、仕掛ける側にとってのゲームなんじゃないの?という点。

これがタチの悪さを感じさせる大きな要因です。

 

ゲームと称してニコラスに降りかかる数々の災難は、綿密に仕掛けられたいわばドッキリ。国家権力級のドッキリ。

絶対に勝てっこないんです。多勢に無勢だし。

しかもニコラスが仕掛けだと気づいたとしても途中下車は許されない。常に強行突破されます。

ねぇ…。そんなドッキリあるぅ…?

タチ悪すぎない…?

 

終始わけのわからない出来事に振り回されてイライラしてるニコラスですが、もう本当にわかりみしかない。

だって自分の家が「あれ?俺ってストリートに住んでたっけ??」ってくらいに落書きまみれにされたり、タクシーに乗ったら車ごと海の中に落とされて死にそうになったりするんですから。

加えてレストランに行けば何度もジュースやスープをかけられる。

性的スキャンダルもでっち上げられる。

生きたまま棺桶に入れられる。

 

「人生を変える」という大義名分のもと、あり得ない状況に追い込まれていくニコラスなのです。

仕掛け人たちに言いたい。

 

罪の意識、1ミリだけでもっ…!!!

 

人生を変えるにしたって、こんな100あるうち100番目くらいの最悪な方法取らなくたっていいじゃないかと。

ニコラスに何か恨みでもあるのかと。

そんな苛立ちを感じてしまうのであります。

 

仕掛け人にとってはゲームでも、ニコラスにとっては嫌がらせ以外の何物でもない一連の出来事。

映画のタイトル、変えた方がいいと思います。

「ゲーム」じゃなくて、「嫌がらせ」に。

 

他人が他人を変えるという傲慢さ。それが「ゲーム」

出典:IMDb

そもそも人格を変えてあげるという発想は、いかがなものか?

これが解せない。

ニコラスは傲慢で孤独なセレブ。
外野から見ていて、「もっとこうだったら良いのに…」って事があるのは確かです。

 

だけどもだっけっどぉ〜!!

 

嫌われようが孤独でいようが、本人がそう望んでいるなら良いじゃないの。

そこを押してまで外野がどうこう言うことじゃないじゃないの。

 

それにも関わらず、「兄さんが嫌なやつとして見られるのが耐えられなくて」という弟の一存で、兄の人生矯正が執行されてしまうわけです。

あぁ、ニコラスの人権はいずこへ。

弟恨むよ。

 

そもそもニコラスは嫌なやつっていうか、ビジネスマンなんだからある程度非常な判断をしなければならないのは仕方ないと思う。まぁ嫌なやつなのは否定しないけど。

ニコラスごときが矯正対象になるなら、世界のビジネスマンはみんな家を荒らされ女に騙され海に車ごと突き落とされ生きたまま棺桶に入れられて最終的にはビルの屋上から突き落とされなければならなくなりますよ、って。

やってられっかよって。

そうなっちゃうわけです。

 

ですがラスト、まんまと聖人君子になってしまったニコラスは弟に感謝します。

感謝してしまうのです。

しかも壮大なゲーム(という名の嫌がらせ)にかかった費用の半額を自分で払うことに。

 

あんだってぇ??

 

何が悲しくて嫌がらせを受けて自分の命まで弄ばれたあげく(レスキューの準備してたとかそういう問題じゃなーい!)、膨大な料金を払わなきゃあかんのか。

騙されるなよニコラス!正気にもどれっ!

お前が受けたのはゲームじゃない!サイコプログラムだ!

 

悲しいことに、ニコラスは最後まで正気に戻ることなく、あまつさせ自分を騙していた女をデートに誘い、ちょっと恋の予感を感じさせた風味で終わります。

なんなんだその風味は。

 

人間そんな簡単に変わらないだろーっ!と叫びたい思い。

こんなんで人間変わったら警察いらんし戦争も起きないだろーっ!!右も左も聖人君子になっちゃうだろーっ!!と慟哭したい思い。

そして何より、他人に自分の人生いじくられて悔しくないのかーっ!!って伝えたい思いが溢れすぎる。

溢れてこぼれた。

そんな128分でした。

 

作品情報

出典:IMDb

 

原題 THE GAME
製作国 アメリカ
製作年 1997年
上映時間 128分
監督 デヴィッド・フィンチャー

 

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