どうも、おのじ(@ozy_san_0624)です。
2015年にスマッシュヒットと銘打たれている映画『ザ・ギフト』。今更ながら視聴しました。

黒い背景に浮き上がる色鮮やかなプレゼントボックス。絶対に受け取りたくない気持ちしかしないポスターが怖くてとても良い感じです。
本作は、ゴードの不気味さと登場人物達の過去の掛け合わせがとても良く、先が気になるストーリーになっています。
サイモンの妻・ロビンの人権がことごとく無視されているのは気になる所ですが、特に中盤からが面白い映画でした。
ちなみに本作の監督・脚本は、ゴード役のジョエル・エドガートン。
彼が監督・脚本・主演というまさかの一人3役で、「一体どういう頭の構造をしているんだろう。」とそのキャパシティに驚きます。
すごいよなあ。
※ネタバレにご注意ください。
Contents
あらすじ
新たな転居先で幸せな生活を送る夫婦の前に、夫の同級生と名乗る男・ゴードが現れた。再会を喜んだゴードから、2人に1本のワインが「ギフト」として贈られる。しかし、徐々にゴードからのギフトはエスカレートしていき、度を越していく贈り物に2人が違和感を覚えはじめた頃、夫婦のまわりに異変が起き始める。
引用:映画.com
不気味なゴードのエスカレートするギフト

『ギフト』の中心人物は3人いまして、それがサイモンとサイモンの妻ロビン、高校時代サイモンと同級生だった不気味なゴード。
「不気味なゴード」というのは、いじめられっ子だった高校時代のあだ名です。
なんてひどいあだ名でしょう。そしてなんて長いあだ名。
サイモンとゴードは同級生ではありますが、特に仲が良かったわけではありません。ですが近所のスーパーで出会った事をきっかけに、サイモン夫婦はゴードにギフトを押し付けられ、付きまとわれることに。
ゴード自身に悪気がなさそうなのでつい同情しそうになりますが、序盤の彼の行動は悲しい事に確かに不気味。
良かれと思ってしたことは、サイモン夫婦に「俺たちそんなに仲良くないのに。距離感。」と迷惑がられ不気味がられ。
そんなゴードを観ていると、いたたまれないような可哀そうなような、知らんうちに自分も似たようなことしてないよな…というような、どんな感情になって良いのか分からなくなってきます。
さて、そんなゴードの行動ラインナップがこちらです。
- 呼んでないのにサイモン宅頻繁に来る。
- 勝手に庭に入り込んでワインを置いていく。
- ロビンしかいない時間帯に押しかけてくる。
- 勝手に庭に入り込んで(2回目)、鯉を放流。
- 他人の家を自宅と詐称してサイモン夫婦を夕食に招待。
結構良い感じに迷惑。そしてエスカレートしてきています。
特に他人の家を自宅に詐称したシーンは、アウトオブアウトでした。
しかも拝借した家がめちゃくちゃ豪邸という謎の見栄。それは「彼が二度愛したS」のヒュー・ジャックマンに許されし詐欺です、ゴードよ。
映画を観終わった後から考えると、正直このシーンは豪邸である必要あるのか?とも思うのですが、一番印象に残ったシーンでもあります。
嘘をつき、意味不明な見栄を張るゴードの気味の悪さが光ってるんですよね。豪邸から去っていくサイモン夫婦を見るゴードは、本当に気持ち悪かった。(誉め言葉)
ゴードがサイコなのかとおもいきや

KYN(空気読む気ない)ゴードの様子から、始めは親切を拒否された途端に逆上するサイコホラー展開を予想していました。
住居詐欺のシーンはさすがに気持ち悪かったですし、ストーリーの中でもターニングポイント。
この事件を機にサイモンに苦言を呈されてから、ゴードがサイモン家にプレゼントした鯉が全滅したり、ロビンの愛犬が失踪したりと怪しい事件が相次ぎます。
それだけでなく自宅内に誰かが侵入している様子すらあり、「いよいよゴードの本領と本性発揮か!?」と期待に胸が膨らみ。
膨らみに膨らんでこの後の展開にどきどきしたのです。が。
ところがどっこい。
本性を現したのは、ゴードだけではなくサイモンもでした。
そもそも、いくら距離感を間違っているとはいえ、なぜゴードがサイモン夫婦に執着するのか?
ゴードのせいでサイモン夫婦間にいさかいが起こるのですが、その時のサイモンのロビンに対する態度がややパワハラ気味だったりと、気になるポイントがぽつぽつとあったんですよね。
中盤から、サイモンの秘密が明かされていきます。
いかんなく発揮されるサイモンの人間性と、序盤と中盤で変わる印象

明かされるサイモンの秘密というのは、彼が高校時代に主犯となってゴードをいじめていたこと。
これがなかなかにエグい。事実無根の性に関する噂を流し、ゴードを中退にまで追い込みます。その事件がきっかけで父親に殺されかけ、その後の人生もめちゃくちゃになってしまったゴード。
今回のギフト攻撃も、サイモンへの復讐だったというわけです。
ゴードへの仕打ちが妻ロビンにばれて責められるのですが、その時のサイモンの発言がもう最低。
しぶしぶゴードの所へ謝罪に出向くも、受け入れてもらえないからと殴る蹴るの暴行を働いてしまうし。バカタレ。
終盤は、サイモンが最低の人間性をいかんなく発揮するターンとなっています。
サイモンお前のそういうとこだぞ!
登場人物への印象が序盤と終盤ではガラリと変化する『ザ・ギフト』。
序盤はゴードの不気味さに焦点が当てられて「ゴード=加害者、サイモン夫婦=被害者」という構図だったのが、中盤でサイモンの過去が明らかになってくると一概にそうとも言えなくなってくる。それが観ていて面白かったです。
ゴードの不気味な印象が、徐々に徐々に、流れるように彼への同情に変わっていくんですけど、脚本書いた人(ジョエル)すごくないですか。監督(ジョエル)すごくないですか。
復讐劇としてのスカッと感は控えめだけど、そこがリアル

本作は、ゴードの、ゴードによる、ゴードのための復讐ムービーなのですが、爽快にスカッとできる結末かというとそうではありません。嫌~な後味を残してくれる映画になっています。
最後の最後までサイモンはゴードへの心からの謝罪はしないのですが(そういうとこだぞ)、それゆえにきっちりゴードの報復は受けます。
不正を働いて昇進したことがバレ、仕事はクビに。
妻の愛も失い、待望の子どもさえ自分ではなくゴードの子かもしれない。
そんな絶望感に頭を抱えて座り込む、というエンドを迎えます。
ゴードの復讐は遂げられ、ラストシーンで仕事も家族も一瞬で失うサイモン。
非のないロビンと赤ちゃんが巻き添えになっているのは切ない所がですが、「ゴードからの一番のギフトは過去のしっぺ返しでした」というラスト、個人的にはとても好きでした。
作品情報

原題 | The Gift |
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製作年 | 2015年 |
製作国 | アメリカ |
上映時間 | 108分 |
監督 | ジョエル・エドガートン |