私が愛してやまない死霊館シリーズ。
言わずと知れた実話ベースの「死霊館」「死霊館エンフィールド事件」が本編の作品で、実在する呪われた人形「アナベル人形」を始めとした素敵に邪悪なキャラクター達をスピンオフシリーズとして抱えるホラーシリーズです。ヴァラクイチオシ。
その死霊館シリーズに新たなヒロインが登場するということで、いそいそと映画館へ行ってまいりました。その映画こそ、「ラ・ヨローナ~泣く女~」です。

いや~、ヨローナ、良い仕事するよぅ…。恍惚。
キャッチコピーは「生き延びたければ、決して水に近づいてはいけない」。
土台無理っていう無茶ぶりなんですけども、それゆえの絶望感がたまらない。
前作「死霊館のシスター」に引き続き、今回のヨローナもその外見といい登場の仕方といい、私の希望をことごとく叶えてくれる大変すばらしいゴーストの中のゴーストで、もう胸がいっぱいでした。
死霊館シリーズの安心感といったら。絶対に裏切らない。
夏にはちょっと早い5月公開でしたが、これから梅雨に入り否が応でも水分に囲まれるので、水に近づくと殺られるというヨローナの特性を考えると本当に良いタイミングだったと思います。
※ネタバレにご注意ください。
あらすじ
1970年代のロサンゼルス。不可解な死を遂げた子供の母親が、不吉な警告を発する。しかし、それを無視したソーシャルワーカーのアンナ(リンダ・カデリーニ)と彼女の子供たちは、ほどなくしてある女の”泣き声”を聞いてしまう―。その日を境に数々の恐ろしい現象に襲われることとなった家族は、教会に助けを求めるが、そこで語られたのは、呪われたすすり泣く女”ヨローナ”の存在だった―。ヨローナはプールやバスタブ、トイレであろうが、水のある所に現れる。果たして家族は逃げ場のない恐怖から逃れることはできるのか―。
引用:「ラ・ヨローナ~泣く女~」公式サイト
歴史ある幽霊ラ・ヨローナにときめく

本作で一番魅力的なのは、ヨローナが中南米の伝説が元になっているゴーストだということ。
長い間語り伝えられている民話の類、特に怪談って、それだけでロマン溢れてたまらなく心を刺激されます。
そんなヨローナが、本作ではアメリカで大活躍。国を超えた理由について作中では深くは語られていないのですが、面白怖いのであまり気にならないし気にしちゃいけない。
幽霊に国境はないんだ。
「良い子にしないと連れていかれるぞ」と子ども達への言い聞かせにも登場するほど、現地の人々に浸透しているヨローナ。彼女のバックボーンを少し紹介します。
これが語り継がれているヨローナの伝説。
女としての怒りと狂気、母としての悲しみと後悔を合わせ持っているという、面白いゴーストです。
ターゲットが子どもであること、水を媒介として現れることなど、出没するにあたって制限があるのもまた良いですね~。
水たまりレベルの水でも出現できるので、実質どこにでも行けちゃうというのはさておき、だからこそ一度狙われたら逃げられないという絶望感が良いスパイス。
狙った子供に印をつけてさらう、という行為を長年にわたって繰り返してきたヨローナ。
そんな確かな実績と信頼を携えて、本作では主人公アンナの2人の子ども、クリスとサムを標的にします。
何といってもそのビジュアルに胸が高鳴る

さて、ヨローナの何が怖いって、まず一つ目にその衣装。
ヨローナの衣装は白の古びたドレス。頭にはヴェールのようなものをかぶっているため、自然とウェディングドレスを連想させます。
花嫁衣裳を着た人が日常シーンに出てくること自体違和感があるし、まして自宅や夜の川辺にウェディングドレス着た人なんてまぁいるわけない。 実際にいたら、それ絶対幽霊でしょうよって一発で気づきます。ビビります。
ドレスのデザインが古くて薄汚れているのも、ヨローナの雰囲気を一層不気味にしてくれてました。グッジョブ。
CG不使用という素顔も怖かったしね。ヨローナのデザインした人、なんて素晴らしいんだ。
話は変わって、「花嫁衣裳の幽霊は通常よりも3割増しで怖い」という法則が私の中にあるのですが、どうですか。
白無垢ホラーが映画化されたらめちゃくちゃ怖いと思うのですが、誰か作ってくれないかしら。割と本気で観たいです。
肝心のホラーシーンはドッキリ系

映画冒頭で、パトリシアという女性が2人の息子をヨローナから守るためクローゼットに閉じ込めているのですが、アンナは彼女の言う事を信じずその兄弟を保護。
結果、この兄弟はヨローナに命を奪われてしまいます。その次に狙われたのが、アンナの子ども達というわけですね。
パトリシアの息子たちがヨローナに連れ去られるシーンですが、これがめちゃくちゃ怖い。私はこのシーンが一番好きでした。
そのカメラワークと色やめてよ!と言いたくなるほど恐怖心を煽ってきますので、ぜひ一度ご覧あれ。
公式サイトにそのシーンのVR体験映像がありますけど、そっちはあんまり怖くありません。ゲーム映像になってるからかしら。

それから予告でも流れていた、アンナの娘・サムがプールサイドでヨローナと邂逅するシーン。
ここも映画「ライト/オフ」のような、「特定の行動をした時にゴーストの姿が見える」という演出で、心臓が喉のあたりまであがってきました。もうちょっとで出ちゃう所だった。
カーテンの奥からヨローナが飛び出すシーンといい、本作ではドッキリ系の驚かせ方が多く、「来るぞ!」分かっていてもビビってしまうのが憎いですね。
一世一代、サムが怒涛のやらかし

キャラクターには、アンナ・クリス・サムのほか、アンナ達を助けてくれる元神父のラファエルも登場。
ラファエルは神父を辞めた後に呪術師のような仕事をしていて、人付き合いがあまり得意ではない様子。
なのに真顔で「じゃじゃーん」とか言っちゃうお茶目なところが可愛らしいおじさんです。一見強面なのですが、なんだかんだ愛されキャラでは?
今後の死霊館シリーズにゲスト出演してくれるんじゃないか?と勝手に予想しています。
さて、後半にはヨローナの手先として働く輩がいるのですが、それが何を隠そうサムです。
中盤までは、ヨローナに怯えるただの女の子なのですが、終盤になってその本領を発揮。
アンナの自宅にラファエルが訪れ、いよいよヨローナと対決!というシーン以降、やらかすことやらかすこと。
詳しくは書きませんが、なんで今なの。と言いたくなることを連発します。
このシーンをサムが担う必要はあるのだろうか?という疑問を強く感じてしまったのはさておき。
結果的にはヨローナの出番が増ているので、良しと思う事にしよう。そう思えばグッジョブと思えんでもない。
ファンに嬉しい小ネタもちょこっと

死霊館シリーズといえば、他シリーズとのリンクが楽しみの1つ。
本作にもきちんとありましたよ。
今回は、アナベルシリーズからあの神父さんが出張してくれてましたね。
この神父さんがラファエルをアンナに紹介してくれる役どころなので、結構重要ポジション。「教会に属さない人物を紹介」というシーンで、始めにウォーレン夫妻を思い浮かべちゃったのは内緒です。
こういう死霊館シリーズファンへの心遣いがなんとも嬉しい。
2019年9月にはアナベルが登場する「死霊博物館」公開も控えているので、「ラ・ヨローナ」からのリンク出演も期待が高まります。楽しみ。
ではまた~。
作品情報

原題 | The Curse of La Llorona |
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製作年 | 2019年 |
製作国 | アメリカ |
上映時間 | 93分 |
監督 | マイケル・チャベス |