ホラー

【屍憶】赤い花嫁が性癖に突き刺さっちゃう冥婚ホラー

どうも、おのじ(@ozy_san_0624)です。

 

突然ですが、「冥婚」てご存知ですか?死者との婚姻のことなんですけども…あ、知ってますよね。はい、すみません。

以前、台湾の冥婚についてテレビで取り上げられていたので、「聞いたことある~」って方もいると思いますし、ホラー好きな方は「知ってるよ当たり前だろ!」ってレベルかもしれません。

今回見たのがまさにその「冥婚」を題材にした『屍憶』です。

出典:(C)2015 GOOD FILMS CHINA / GOOD FILMS WORKSHOP ALLRIGHTS RESERVED.

う~ん、良いポスター。素敵なビジュアル。

「死者との婚姻」は、台湾・韓国・日本・フランスの一部地域にみられる風習で、中でも台湾の冥婚が一番怖いらしく、その内容は「道に落ちている赤い封筒を拾った男性は、強制的に死んだ娘の結婚相手にさせられてしまう」というもの。

何も知らずに赤い封筒を拾っただけで強制的に死者と…って、怖すぎやしませんか。

これって都市伝説なんじゃないの?

都市伝説だよね?

都市伝説であれ。

 

さて、本作は一番怖いと言われている台湾の冥婚をモチーフに描かれています。

題材が面白いのもさることながら、ストーリーも恐怖演出も素晴らしいので、冥婚について知っている方も知らない方もジットリ楽しめちゃうおすすめホラー。

それが屍憶です。

 

※ネタバレ注意です。

あらすじ

恋人との結婚を控えたテレビプロデューサーのハウは、公園をジョギング中に赤い封筒を拾ったことをきっかけにある家を訪れて以来、悪夢や怪奇現象に悩まされるように。友人の紹介で霊媒師に相談したハウは、やがて山奥の古い家にたどり着く。その場所では、かつてある男性が事故で亡くなっており……。

引用:映画.com

 

赤い花嫁が不気味なのに美しい

赤い封筒を拾ってから次々と不気味な体験をする、イケメン主人公のハウ。

言うまでもなく原因はこの赤い花嫁なのですが、この花嫁が怖いだけじゃなく何とも不気味な美しさを醸し出してるんです。

(C)2015 GOOD FILMS CHINA / GOOD FILMS WORKSHOP ALLRIGHTS RESERVED.

ほら綺麗。

この画像だけ見たら、「あれ…。素顔、綺麗なんじゃ…?」と思ってしまう。妙な色気があって、怖いのに見ていたくなるというジレンマ。

ヴェールで顔が絶妙に隠されている所に、古風な衣装・装飾品の美麗さが相まって、花嫁の魅力はさらに倍増。

素顔が見たいという欲求を刺激してくるんですよね。

 

そしてもし花嫁の素顔が美しかったなら、そのまま主人公との恋愛ホラーストーリーに発展しても差し支えないのでは。うん、差し支えない。

死人の花嫁とイケメン主人公の恋なんて、古典にもありそうでとっても良いじゃないですか。

元は人でも、幽霊になってしまえば異種族。

元々異種族恋愛や異類婚姻譚が大好きな身としては、見事に好みに突き刺さってくる花嫁の設定・ビジュアルでした。最高。

金曜夜23時から、そういう展開のドラマ放送してくれないかな。需要ないかな。

 

さて、一見恋の始まりにも見える2人の出会いでしたが、主人公と赤い花嫁の恋は始まりません。

本作では、想像以上に恐ろしい花嫁の形相でもって、高めに高めた花嫁の素顔への淡い期待はバッキバキに打ち砕かれます。

そして、きっちりとバッキバキのホラー展開へ私の意識も戻してくれました。

 

婚約者イーハンもまた美しい

(C)2015 GOOD FILMS CHINA / GOOD FILMS WORKSHOP ALLRIGHTS RESERVED.

勝手に赤い花嫁とハウのロマンスを想像してドキドキしてしまいましたが、ハウにはれっきとした婚約者がいます。

しかもこの婚約者イーハンが、とんでもなく美人で健気という天使のような女性。誰も太刀打ちできないったらない。

心優しいイーハンは、悪夢に仕事にと忙しいハウを心配しながらも、懸命に支えます。

こんなに素敵な婚約者がいて、死人と結ばれたいと誰が思うでしょう。冥婚よりも現実の結婚の方が大事。

そりゃそうだ。

 

そもそも冥婚ってどうしてするんだ

とはいえ、赤い花嫁にとっても冥婚できるかどうかは死活問題。すでに死んでるんですけども。

それはおいといて。

 

作中での説明だと、「男性優位だったかつての台湾では、未婚で亡くなった娘は家の墓にも入れてもらえず、成仏も出来ない」のだそうで。

成仏できない魂は災いを成すので、不幸を防ぐため、家の者にとっても冥婚は必要だったようです。もちろん、若くして亡くなってしまった娘を哀れに思う気持ちもあるのでしょうけど。

台湾における冥婚は、好きとか嫌いとかいう恋愛レベルでの儀式ではないんだなぁ。

 

だけど、好きとか嫌いとか言っていたい

けど、いざ親が連れてきた男性が予想外にあんなイケメンだったら、執着する花嫁の気持ちも分からなくもない。

自分が花嫁の立場だったらと思うと「あらカッコいい…。冥婚しても良いかも(ハート)」って揺らぎませんか。

私は揺らぐし好きになっちゃうかもしれない。

「一緒に成仏しよ(ハート)」ってなる恐れがある。

 

実際に赤い花嫁だって、ハウの前世から付きまとっているわけですからね。

憑りつく理由が、単に自分の元に連れてこられた花婿だったからなのか、それともハウだからなのかは分かりませんが、おそらく後者だろうなと思います。

キャッチコピー通り、憶い(思い)が熟成されすぎてしまったんでしょうな~。良いね。

死んでも好きとか嫌いとか言ってるの、素敵です。

 

愛の巣に侵食する恐怖

話を戻しますが、ハウとイーハンの幸せな日常は、2人の愛の巣にまで侵食してくる花嫁によって少しずつ壊れてゆきます。

ベッドに、バスルームに、リビングに…。

どこにいても「え…?」と思う瞬間があって、ここら辺の恐怖演出にぞっとします。

 

例えば寝室でのシーン。

ベッドでハウがふと目を覚ますと、ハウに背を向けて眠っているイーハン。ハウが寝返りをうつと、そこにはすやすやと眠るイーハンの姿が。

あれ。じゃあ、さっき自分に背を向けて眠っていた女性は…?

(C)2015 GOOD FILMS CHINA / GOOD FILMS WORKSHOP ALLRIGHTS RESERVED.

あなた一体どこのどちらさまーーー!!!!

 

こういう王道の恐怖シーンがね、次々と繰り広げられていくんですよ。

本作は日台合作ホラーという事で、台湾の文化を感じさせてくれながらも、どことなくジャパニーズホラーに通じる雰囲気があります。

なので観ていてかなりとっつきやすい演出に感じますし、違和感なく恐怖シーンに没頭できちゃう。

それが素晴らしい。

 

ストーリーはちょっと中だるみするが、面白い

そして『屍憶』のもう一つの魅力が、そのストーリー。

詳細は伏せますけども、話の運び方が本当に素晴らしいんですよ。若干中だるみはあるものの、ラストまでの流れに目が離せなくなります。

(C)2015 GOOD FILMS CHINA / GOOD FILMS WORKSHOP ALLRIGHTS RESERVED.

作中で重要な役割を担っているのは、もう一人の主要人物であるインインです。

普通の女の子だったのに幽霊が見えるようになってしまって、霊感に目覚めてからの彼女の境遇は可哀相というほかなし。連日連夜、自室で幽霊に苛まれるという状況に置かれてしまうのですから。

 

この幽霊は赤い花嫁とは別の幽霊なのですが、この描写がまた怖いのなんのって。

インインの遭遇する恐怖シーンを見ていると、ベッドの下には絶対に人が入れるスペースを作ってはいかんなと改めて感じます。

その恐怖の空間には、お値段以上ニ〇リなりなんなりで、衣装ケースを買ってきて入れなさい、としかアドバイスできないのが辛い所。

ちなみに私は、ベッドが怖いので布団派です。

 

ラストにむけて面白さが加速。それとちょっとのロマンス

さてさて、序盤はハウやイーハンと別軸で進んでいくインインのストーリー。

何を隠そう、中だるみに感じるのはインインちゃんのパートだったりするのですが、インインがハウ達のことを知ってからは加速度的に話が面白くなってゆきます。

そして何とも切ないラストに繋がっていくんですよ…。

序盤・中盤までしっかりホラー一直線で引っ張ってきたのに、終盤にかけてちょこっとだけロマンスを感じさせるのがたまらない。ずるい。

個人的に大好きなポイントでした。

 

この終わり方が好みドストライクでして、「監督と脚本、一体誰…」と思ったら、両方ともリンゴ・シエという方でした。

彼女の他作品も観たいなぁと思ったのですが、2019年6月現在、『屍憶』以外はまだ作られていないようです。残念。

彼女の新作が出たら、ぜひ観たいと思います。

 

作品情報

出典:(C)2015 GOOD FILMS CHINA / GOOD FILMS WORKSHOP ALLRIGHTS RESERVED.
原題 屍憶 The Bride
製作国 日本・台湾合作
製作年 2015年
上映時間 89分
監督 リンゴ・シエ

 

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